『昔話の深層』
河合隼雄
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大曼荼羅御本尊
「南無妙法蓮華経」のことをお題目といいます。
まず南無とは、インドの言葉ナームという音に漢字を当てはめたもので、南無という漢字そのものには意味はありません。
ナームとは、「心から信じます」という意味です。
また、妙法蓮華経とは法華経の正式名称です。
つまり南無妙法蓮華経とは、「お釈迦様の一番大切な教えである法華経を心から信じ、実践して参ります」という誓いの意味になります。
末法の時代には仏教のすべてが正しく伝わっているとは限りません。
そのような現代において、教えをすべて正しく理解し、さまざまな修行を正しく行っていくことは不可能に近いことです。
しかし、このような時代が到来すると予見をしていたお釈迦様は、「信」をもって「智慧」に代えることができると説いています。
すべてを理解していなくても、法華経を信じきることで仏の世界を感じることができる。仏の世界とは、苦しみや悩みが消滅した世界ですから“さとり”の世界です。
お題目を唱えるということは「信」を誓うこと(自行)と同時に、縁ある他者へ善き因を与えることになりますから菩薩行(化他行)を行う事になり、瞬時にお釈迦様の「智慧」と「慈悲」を授かるということで、つまり成仏への一番の近道ということになります。
日蓮聖人はさまざまな欲望が渦巻く現代社会で人々を仏の世界へ導くためには、この方法しかないと決意して「南無妙法蓮華経」を修行の肝心としました。