国を損じ人を悪道におとす者は、
悪知識に過(すぎ)たる事なきか。
『唱法華題目鈔』
文応元年(1260)39歳
悪知識は、文章や映像や様々な情報、あるいは人の姿になって周囲を誘います。
どんなに気を付けていても、つまずくことがあるように、悪知識に騙されることがあります。巧みに人を騙す姿はテレビや新聞などでよく見聞きしますが、《振り込め詐欺》のように当事者には分かりにくいものです。実際、様々な形で注意を呼びかけていますが、《振り込め詐欺》の被害は後を絶ちません。悪知識は、さも善人のような顔をして忍び寄ってくるからです。
さらに国を動かす立場の者が「悪知識」に染まれば、国を損ね、社会を壊し、人間の営みを破りかねません。そうならないために日蓮聖人は、真実を見通す智恵の眼が必要であると示され、蓮の花のように泥水(悪知識)に染まらない美しい心を養わなければならないと戒められたのです。蓮の心を持った人はつまずいても、そのつまずきから大きく学んで成長する力を備えます。個人は勿論、社会の安穏のためにも、私たちは蓮の心を持ち、しっかりと前へ歩まなければならないのです。
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