『昔話の深層』
河合隼雄
妙福寺トップページ > 妙福寺PRESS > 妙福寺あれこれ > 今月の聖語(平成23年7月)
2011/07/03
仏眼をかつて時機をかんがへよ。
仏日を用て国をてらせ。
日蓮聖人御遺文『撰時抄』/
文永3年(1266年 45歳)
この聖語は、『撰時抄』の一節です。
仏眼とは釈尊の智慧のことです。仏日とは釈尊の徳のことです。
釈尊の智恵を借りて「その時」「その人」を考え、釈尊の徳を用いて一切を照らし、一切の闇を除き、真の姿を浮かびあがらせようとする聖人の祈りです。
この祈りで聖人は、文応元年(1260)7月16日『立正安国論』を鎌倉幕府に奏進なさいました。
そして、一身が安らかであることを願うならば、まず何をおいても世の中が穏やかになることを祈らなければならないと示されました。
これは聖人の信仰を端的に示しています。私たちは、科学のお陰で、便利で豊かな生活を手に入れました。しかし、幸せと感じている人は驚くほど少ないのです。
科学が模索したものは、周囲の安堵ではなかったのかもしれません。今こそ、聖人の様な信仰が大切な時だと思います。信仰は人生に意味を与え、便利で豊かな生活を、幸せに導くものです。祈りとは、どこへでも、いつでも届くものなのです。
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