『昔話の深層』
河合隼雄
妙福寺トップページ > 妙福寺PRESS > 妙福寺あれこれ > 今月の聖語(平成23年4月)
2011/04/05
未曾有の大災害から、はや3週間あまりが経過しようとしています。いまだ多くの行方不明者がおり、避難生活を続ける人も整わないライフラインに困窮し、鎮静化しない原発に不安が募る日々だと思います。
そして実際に被災しなかった人々も何かしらのモヤモヤを心に抱いてる、それが日本の現状ではないかと思います。
ちょうど先月の聖語では、NZクライストチャーチで起こった大地震の事を書きましたが、まさか1ヶ月後に我が国が・・・世の無常というものを感じずにはいられません。
今からおよそ700年前、日蓮聖人が生きていた鎌倉時代もまさに大地震・疫病・飢饉などなどの天変地異が多発していました。日蓮聖人は、その様な状況で疲弊し絶望の淵に立たされる民衆を救う為、お釈迦様の教えを基に、安穏な社会をつくろうと立ち上がったわけです。
しかし、そのお陰でかえって日蓮聖人は様々な迫害を受けて、島流しにあってしまいます。
お釈迦様の教えを広めようとしているのに迫害を受け、何故に諸天善神は守ってくれないのだろう?と疑問に思いました。
そのような中、法華経を今一度ひも解くと「法華経を広めようとする者は、必ず様々な困難が待ち受けている」と記されており、それを見つけた日蓮聖人は自らの行いに確信を持ち、
〝開目抄〟の中で有名な三大誓願を立てられました。
【我日本の眼目とならむ。我日本の柱とらなむ。我日本の大船とならむ】
〜文永9年(1272年 51歳)〜
これは日蓮聖人が、揺るぎない決意をした瞬間です。諸天善神に庇護されずとも、様々な迫害を受けようとも、自分は日本の柱(軸)となりお釈迦様の教えを広めようと。
日蓮聖人は、希代の布教プロフェッショナルだと思います。(怒られそう・・・)
一般的に日蓮聖人に対するイメージは強力なリーダーシップではないかと思いますが、それ以上に、実は強靭なフォロワーシップを持った人であったと僕は思います。
お釈迦様
(フォロアーシップ)
↑↑
世の人々 ← 【 日蓮聖人 】 → 世の人々
(メンバーシップ) ↓↓ (パートナーシップ)
(リーダーシップ)
弟子、信者さん
自分を軸としてお釈迦様の教えをフォローし、弟子達は愛情と信念で指導する。そして周りの人々の悲しみ苦しみを自分の痛みと捉える感覚。これがプロフェッショナルな宗教者だと感じる由縁です。
しかし、この感覚は宗教者のみに限った話ではありません。私たちは何らかのプロフェッショナルであり、他のプロフェッショナルと組む事で社会が成り立ち、まわっていきます。つまり時と場合により、自分の役割を変えつつ能力を発揮する事が出来るのがプロフェッショナルであるという事です。
今の日本は経済大国であり、素晴らしい人材が毎年生まれていると思います。しかし誰もがリーダーとなりたがる社会は脆く、すぐに壊れてしまいます。一人ひとりが全体に目を配り、そして脇役にもなれ、黒子にも徹せる。これからの日本は、そのような感覚が大切ではないかと考えます。
それと共に、この大震災の復興を通して、プロフェッショナルな市民(お互いが助け合いの精神を持った)が溢れる成熟した日本へ成れるのではないかと感じます。
最後に、この大震災で亡くなった多くの方々へのご冥福、並びに被災した方々への安寧と復興を御祈念致します。南無妙法蓮華経
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