『昔話の深層』
河合隼雄
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2011/02/11
仏教では人間の行為をざっくり分けて3つに区別します。
①考える事
②話す事
③体を使い行動する事
この3つの行為に関して、善い行いか、悪い行いかを良く考えて行動しなさい。というのがお釈迦様の教えです。
とても大雑把だな。と感じるかもしれませんが、実は人間が能動的に何か行為をなす場合、この3つに集約されます。
逆に言えば、この3点はとても重要な行為であり、慎重に行うべき行為であると教えています。
先日こんな記事が飛び込んできました。
【ロシア、菅首相の「暴挙」発言に対決姿勢】
ロシアのメドベージェフ大統領が、自らの北方領土訪問を「許し難い暴挙」と非難した菅首相の発言に激しく反発している、というニュースです。
政治的な外交問題が絡んだ記事ですから、どちらが正しくどちらが問題かと安易に見いだせませんが、一つ言える事は「発言一つで情勢が一変する」という事実です。
同記事によると、メドベージェフ大統領は4日に北方領土問題を主議題とする会議を主宰したが、この時は「平和条約を含め、あらゆる問題を話し合う」と述べ、日本との関係回復に向けたシグナルを送っていた、とあります。しかし、管首相の発言を受けた後には、9日にロシア軍の北方領土駐留部隊の増強や、経済協力からの日本締め出しまで示唆し、11日の日露外相会談を前に対決姿勢を鮮明にした、となりました。
日蓮聖人は「言葉」に関して〝兄弟鈔〟でこのように述べています。
〜建治二年(1276年)五十五歳〜
『一生が間 賢なりし人も 一言に身をほろぼすにや』
人生を賢明に、慎重に歩んできた人であっても、ただ一言が仇となって身を亡ぼし、永年積み上げた信用や功績を台無しにしてしまうことがある。という意味です。
一国の首相や国家問題のような大事でなくても、日常において自分の〝言葉〟には細心の注意を払うべきであり、うっかりでは取り返しのつかない事もあると肝に銘じたいものです。
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