ー神鏡ー
鏡の前に立ったとします。あなたの顔、映っていますよね。でも不思議に思いませんか? 一番身近にありながら自分の顔は鏡を通さないと見ることができません。
同様に私たちの生き様自体も自分では見えているようで実は見えていません。私たちの姿がありのままに見えているのは仏さまのみです。その仏さまの目を「神鏡」というのです。
そんな私たちが「神鏡」に映った我が身を見る術は、素直な心で一心に仏さまに手を合わせる。この一点に尽きるのです。
『神国王御書』
本書は「神国」とあるように、冒頭、天神七代・地神五代の流れを受け継ぐ日本に、仏教が伝来した経緯から説き起こされます。
その尊き縁をいただく国でありながら、なぜ内乱が起きるのかを究明され、その原因は仏法の乱れが人心の乱れを引き起こし、下剋上の世を招いたと指摘されています。
人びとの心の鏡になるべき教え……。すなわち法華経という「神鏡」に心を照らすべきことを強く訴えられているのです。
文永12年(1275) 聖寿54歳
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