「無明の闇」という言葉があります。
これは真理を照らす明かりがまったくなく真っ暗闇ということです。まさに迷いの根本です。
私たちはその中を手探りでさまよい歩いています。そして自分の価値観で「善だ悪だ」と決めつけ生きているのです。それがますます迷いを増長する結果となっているとも気づかずに…。
ならば私たちになくてはならないのは、闇を切り裂く灯明のはずです。その明かりとなるのは仏さまの智慧だけなのです。
本仏釈尊の前に素直に額ずく。これこそが大灯明を手にできうる唯一の方法なのです。
『智慧亡国御書』
本書は駿河の住人、高橋六郎兵衛入道の妻・持妙尼に宛てられたといわれています。
人間が抱える貪瞋痴の三毒の増長によって寿命が短くなっていく。更に様々な教えの流布がかえって国を亡びさせようとしていると警告されています。
それを救うのは唯一、善悪の根本を極めた本仏釈尊の智慧が明かされた法華経であると主張されています。
建治元年(1275)
聖寿54歳
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