『昔話の深層』
河合隼雄
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2015/11/05
yathâpi bhamaro pupphaṃ vaṇṇagandhaṃ aheṭhayaṃ /
paleti rasaṃ ādāya evaṃ gāme munī care.(Dhp.49)
ミツバチは、花から色と香りを損なわず味だけを取って飛び去る。
その様に、賢者は村で托鉢を行じなさい。
出典 http://ganref.jp/m/nshiba/portfolios/photo_detail/1e386d43cd8b2e8279c85fcfca372470
これは出家者に対して、お釈迦様が“托鉢”の心得を説いた詩ですが、私達にとっても大切な事を
教えてくれている詩です。
インドの出家者は食事も托鉢で得なければなりません。
今日も頂かなければいけないし、明日も頂かなければ生きていけないのです。今日お腹がペコペコだからといって、ご飯を布施する家が、傾くほど頂いてしまっては巡って自分自身を苦しめる事になります。
一時の欲望や感情で行動してしまうと、周囲に良い影響を与えないばかりか、巡り巡って自分にも良い影響を与えません。
ミツバチは、花から蜜だけを頂き飛び去ります。
そして花はミツバチに蜜をあげる代わりに花粉をつけて、新しい場所に繁殖していきます。決してどちらかが搾取している訳ではなく、依存関係にあり大切なパートナーですね。
それと同じ様に、私達の社会のあり方も同じではないか、と感じます。
自分の権利や利益ばかり優先しては潰し合いになりますが、“おたがいさま”であれば共存して生きていける。
当たり前の事ですが、忘れやすい事ですよね。
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