『昔話の深層』
河合隼雄
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2016/01/01
平成28年の新春を寿ぎおよろこび申し上げますとともに、今年が世界にとり、日本にとり、皆様にとって
平安な年でありますことをお祈り申し上げます。合掌
晴れやか気持ちでお正月を迎えるには、年の瀬に大掃除を行い、大晦日には除夜の鐘をつき、
その音に一年間溜まった心の垢を洗い流したりします。
そうして年明けを迎えると晴れ着に袖を通し、菩提寺や近所の寺社仏閣を参拝する。
家族揃ってお屠蘇を頂き、子供たちはお年玉に大喜び、お正月の光景ですね。
元旦は料理も掃除もせずにゆっくりと過ごすというのは、掃除をすると福も一緒に掃き出してしまうという
考えから生まれたもののようです。
これからはじまる1年間を無事に乗り越えていくためにエネルギーを蓄えるのが元旦の意味だったのですね。
ところで皆さんは、初詣の時にどんな願い事をしましたか?
「今年こそ良縁に恵まれますように」「おこづかいが増えますように」「受験で合格できますように」・・・。
色々な願い事があると思います。
それぞれとても大切な願い事ですが、
仏教には「願い事」のお作法があります。
それは・・・
1、感謝をする
昨年の事を思い出し、嬉しかった事や有難かった事に感謝します。
2、誓いをたてる
今年の目標を誓います。
その時に大切な事は「他者の為になる」事を誓います。「今年は部下に優しく接します」とか「今年は人の悪口を言いません」と誓います。
3、自分の願いを伝える
やっとここで自分の願い事を伝えます。ここは「自分の為になる」事で大丈夫です。
この一連のお作法を「誓願(せいがん)」といいます。
仏教発祥の地インドでは「真実の言葉には不思議な力が宿る」という思想があります。
インド語では真実の言葉は「satya(サティヤ)」と呼びます。
自分が何らかの誓いを立てて、その言葉が真実になるように日々努力する事で「satya(真実の言葉)」
の力が貯まり、それによって願い事が叶う、という考えです。
ですから、皆さんの願い事を叶える為にも、まずは「感謝をして、誓いを立てる」という事が
大切になってきます。
昨今では各家庭のお正月の過ごし方は変化し、お正月が特別な節目ではなく、それぞれが自由に
迎える形態が増えてきています。
年頭を旅行などで楽しく過ごす事も大切ですが、年の初、心を静かに落ち着け自身の足下を見つめ直し、誓いを立てる機会にするのも宜しいのではないでしょうか。
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