『昔話の深層』
河合隼雄
妙福寺トップページ > 妙福寺PRESS > 住職日記 > 正月は餅食って寝る?
2013/01/02
明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
ところで皆さん。
お正月どのようにお過ごしですか?多忙を極める日常から開放され、ゆっくり体を休めたり、家族団らんを楽しんでいますか?
それはとても大切な事です。
しかしお正月には、本来もっと大切な事があります。
俗に「地獄の釜のふたが開く」という例えがあります。
地獄の鬼が休みをとって、亡者を責めることを差し控える。というのですが、一般にはお盆のときによく使われる例えになっています。
ところが、この言葉はもともと「正月十六日には地獄の釜のふたが開く」とか「正月と盆には地獄の・・・」とか、そういう使われ方をしていました。
つまり、正月と盆はご先祖の霊を我が家にお迎えする、年に二回のご供養の日だったわけです。
昔はどちらかと言えば、お正月の方がお盆よりも重んじられる傾向さえありました。
「正月三日に盆二日、節供一日、事日半(ことひなか)」という言葉は、休日の原則を示したものです。
お正月は三ヵ日がご先祖の供養日。お盆は十四日、十五日の二日間が供養日。お節供(節句)は一日だけ。「事」というのはお祭りのことです。この日は「日半」、すなわち半日だけ休むという意味です。
「正月は三日、盆は一日日半(ひとひなか)」という言葉もあり、こちらではお盆は十四日から十五日にかけての一日半が休みとしています。いずれにしても、お正月のご先祖供養が重要と考えられていた事がわかります。
お正月の十六日に地獄の釜のふたが開くというのは、やぶ入りのしきたりと関係があるようです。
お正月とお盆の十六日は住み奉公をしている人々が実家へ帰る休日だったので、地獄の鬼もこの日ばかりは仕事をしない、という事のたとえがうまれたのでしょう。
皆さんはどんなお正月をお過ごしですか??
体を休めるのも大切な事、家族の団らんも大切です。ゆっくりと心身の休息をして下さい。
しかし、わざわざ乗り物に乗って遠出をし行楽に出かけたり、縁もゆかりも無い有名なお寺さんえ行って遠方へ福を求めるくらいであれば、日頃お世話になっている地元のお寺さんへ足を運び、ご先祖のお墓参りをして一年の誓いを立てるのも、なかなか良いものですよ。
住職日記 | Comments(0)