良い睡眠を取る為に、多くの専門家は就寝前のリラックスできる習慣を薦めています。
暖かい飲み物を飲む、マッサージをする、音楽を聴く、その中でも効果が高いと言われているのが読書です。
就寝前に穏やかな気持ちになれる本を読むと、ストレスレベルが下がり、質の良い睡眠につながると言われます。
さて、一口に「読書」といっても、本を読む理由、読み方、読む内容も人ぞれぞれです。
仕事のスキル向上に繋げる為の読書や情報収集としての読書。
好きな作家を楽しむ為の趣味としての読書や子供と一緒に読む絵本も読書ですね。
読む内容や目的によって、自ずと読み方も変わり様々な読書スタイルが存在しますが、いずれの形であっても本に触れる、本を読むという行為は「心と体」を癒してくれる行為です。
そのように主張するのは日本読書療法学会会長 寺田真理子氏。
著書『心と体がラクになる読書セラピー』
の中で「良薬ナル読書ハ百ノ医薬二勝ル」として、読書セラピーの紹介や本との向き合い方、具体的な症状に対する処方まで紹介されている、他に類を見ない内容です。
帯には「ぎっくり腰には『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル」と記されており、私もいよいよぎっくり腰になったら『夜と霧』を片手に整形外科に行こうと思っています。
近年はますます情報過多、効率的で高速での思考が求められる向きがあります。
その思考回路も時代に沿う為に重要な能力ですが、一方、対象にじっくり向き合う、スローな思考も同じくらい大切です。
鎌倉末期から南北朝時代の臨済宗の僧に虎関師錬(こかんしれん)という方がいます。
その方の言葉に『古教照心 心照古教』があります。
古い教え、古典によって自分の心を照らす。そして、自らの心によって古い教えを照らし光を与える、という事です。
簡単に言い換えますと、先人の知恵である古典と一文字一文字とゆっくり向き合う事で、自分の心を照らし、今必要な栄養素を吸収する。
しかし、それで終えてしまってはダメなんですね。
今度は、学んだものを活かして日常で実践していく、つまり古典に血を通わせる、という事が大切なんだと説きます。
そうする事で、知識として学んだ先人の知恵を自分の血肉にして、糧として生きていく事が出来る、という話です。
まさに読書セラピーにも通ずる考え方ですね。
そして、それは取りも直さずマインドフルネスにも通ずることです。
『古教照心 心照古教』という読書スタイルは、本を使った瞑想だと思います。
この記事を読んで頂ける方は、読書が好きという方も多いと思います。
そのみなさんの読書も瞑想になります。
今年の冬は「すらすら読める〜」「簡単にわかる〜」的な本ではなくて、あえて「すらすら読めない」もしくは、意識してすらすら読まない(1日2〜3行だけ)のようなじっくり読む読書も是非取り入れてみて下さい。
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