『昔話の深層』
河合隼雄
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2011/06/08
日蓮聖人御遺文『法華題目鈔』/
文永3年(1266年 45歳)
この聖語は、房総方面を布教しておられた日蓮聖人が、清澄にて著述された『法華題目鈔』の一節です。
この書は、表題からもわかるように、お題目の信心について語られています。まさに「名は体を現す」です。
教えを理解しているが、信心は浅い人と、理解は少ないけれど、信心の深い人は、どちらが勝れているのか? という問答も本書で行われ、信心の重要性が説かれます。
では聖人が示される信心とは、どのようなものなのでしょうか?
それは、この聖語をそのまま受け止める素直な心のことです。聖人は、この『法華題目鈔』にて、信心の基になる《妙》の一字について、繰り返し説かれます。
「妙とは蘇生の義なり」は、その最も有名な部分です。他に《開》《具》の意味を《妙》の一字に示されました。
無念な思い、辛い苦しみを経験すると、元気が少なくなり、信心も小さくなることがあります。しかし、お題目は、おぼろげにもありがたいのです。
お題目の《妙》によって、辛さを《開》き、苦しみを互いに《具有》し、そして幸せを蘇らせるのが、お題目の信心なのです。
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