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住職日記

2019/12/01

『深い河』遠藤周作

みなさんは、少し大きなき悩み、深い悩みを抱えた時、どうしますか?
誰かに相談する人もいると思います。
一人で抱えてしまう人もいると思います。
気分転換を図る人もいるでしょう。
悩みも様々ですから解決方法を様々です。
 
私は本当に大きな悩みを抱えた時は本堂でボーッとします。
ただ仏様を見て過ごす時間を作ります。
誰かに相談すれば良いのに、なぜそんな無駄な時間を?
と感じるかもしれませんが、私が欲しいのは「沈黙」だからです。
私達が生きていようが死のうが、悩んでいようが、そことは全く関係なく流れる時間が、仏様の後ろには存在します。それを仮に真理と呼ぶとして、その真理の河に自分の悩みを浸すと、飲み込んでいってくれるような気がするからです。自分の生きている、この現世の時間感覚とは違った悠久の時間に身を置く時、少しずつ悩みが解きほぐされるような気がします。
そこに言葉は必要なく「沈黙」が心地よいのです。
 
少し抽象的な表現をしましたが、世界には現実に真理の流れに身を委ねられる場所が多々存在します。
その一つが「ガンジス河」
ヒンドゥー教徒の聖地であり、生活の糧であり、死者供養の場所でもあります。
愛を求めて、人生の意味を求めてインドへ向かう人。自らの生きてきた時間を振り返る為に行く人。
それぞれ目的は異なりますが、そのような人々の悩みや目的、希望は意に介さず力強い沈黙で受け止め河は流れ続けます。
そんな母なるガンジス河を舞台にした長編小説が「深い河」著 遠藤周作です。
 
1996年発刊の名作ですが、忙しない日々が待ち受ける年末こそおすすめの一冊です!
本を読み終えて、もし悠久の流れに身を浸したいなと感じたら、お寺の本堂でボーっとしてみてください。
心地よい「沈黙」があなたを包んでくれると思いますよ。
※バタフライは禁止です。

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