狭い視野に留まり広く世間を知ろうとしないのを「井の中の蛙大海を知らず」と言います。しかしこれにはこう続ける人もいます。
「されど空の蒼さを知る」。たとえ世界が狭くとも一つの事柄を突き詰めていくことでその世界の深さや広がりを知ることができるというのです。
現代は情報が氾濫しています。それをキャッチすることも大切ですが、追いかけることに気を取られ本質を見極める目が曇ってはいないでしょうか。
「一」を侮ってはいけません。
日蓮聖人ご遺文
『報恩抄』
聖人の亡き師への弔意を通してまことの報恩について述べられたお手紙です。
本書は仏教誕生から説き起こし、お題目に帰結していく過程が詳細に語られています。
その中で印度、中国へ渡り仏典を渉猟するよりも天台大師の経文に向かう姿勢にならって法華経を軸にすべての経を取捨選択すべきことが説かれています。
標題のご文章に続いて「庭戸を出ずして天下を知るとはこれなり」とあります。この眼力は釈尊への信力から生じるのです。
建治2年(1276) 聖寿55歳
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