『昔話の深層』
河合隼雄
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2015/05/05
新しい環境での生活も徐々に慣れ、忙殺される日々も少し落ち着きを取り戻した頃ではないでしょうか?
かく言う我が家も4月から長男が幼稚園に入学し、初めての出来事に一家中が何かと落ち着かない毎日でした。
それまでは、何かとリズムがバラバラだった家族が息子の為に、夜9時頃には消灯し、皆が布団に入るという模範的な早寝早起きに変化しました。
もちろん最初は寝れない、起きれないと辛いものがありましたが、慣れるとそのリズムが心地良く、生活にも仕事にも良い影響を与えている良き習慣であると感じます。
さて、仏教でも実は「良い習慣を持つ」という事を修行の徳目として掲げ推奨しています。
みなさんは「戒(かい)」という言葉を聞いた事があるでしょうか?
「戒」と聞くと何かルールの事を想像すると思いますが、もともとはインド語で「シーラ」と言い「習慣性」の事を指します。
仏教の修行の一つに「良い習慣を持つ(持戒)」というものがあり、何か当たり前のような気がしますが、とても大切な意味があります。
それは、戒を守っていく事で「戒体(かいたい)」が備わると考えられており、簡単に説明すると「良い習慣を守る事で、習慣性が体に染みつき、それが鎧となって自分を守ってくれる」という考えです。
例えば「朝起きたら歯を磨いてから出かける」という習慣を持っている人がいます。もしその人が歯を磨き忘れて出かけたら、その日は気持ち悪く、何かしっくりこないと思います。
同じ様に、普段から「嘘をつかない、人を偽らない様にする」という習慣を心がけている人が、もしある瞬間に嘘をつきそうになった時、今までの習慣が嘘をつく事を踏みとどまらせてくれるでしょう。少なくても当たり前のように嘘をついていた人よりは、躊躇する時間があるはずです。
この様に「良い習慣性が悪い行為から自分自身を守ってくれる」というのが「戒体」という考えです。
実際、私も早寝早起きの習慣が「深酒」という行為を踏みとどまらせてくれています。。。
「良い習慣を持ちましょう」なんて当たり前のようですが、その恩恵を大きなものです。
新生活に慣れ、少し余裕が出来てきたこの時期に、自分の未来の為にも何か良い習慣を始めてみてはいかがでしょうか?
不規則な生活を続けていたら、お釈迦様から「シーラない」って言われますよ。
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